インドの大統領官邸ってどんなところ?予約で内部見学も可能@デリー

デリー

インドの大統領官邸は観光地としてはあまり知られていないと思いますが、
有名なインド門のすぐそばにあります。

インド門の周辺は、この巨大なインドを動かしている政治の中心地で、
まさにインドの永田町と霞ヶ関といった所です。

インド門の正面、西側に小さーく見える建物、
インドの大統領官邸に注目してみました!
どんな建物か皆さんご存知でしょうか?

 

※ロックダウン中で実際には行けていないため、写真は主にネット上からの引用になります

インドの大統領官邸ってどんなところ?

ラシュトラパティ・バワン<Rashtrapati Bhavan>と呼ばれ、
首都機能を持つニューデリーの中心にあります。
ヒンディー語でラシュトラパティ=大統領、バワン=建物/大きい家という意味です。

その建物がこちら!

Forecourt, Rashtrapati Bhavan - 1.jpg
写真:「Rashtrapati Bhavan」2020年6月5日 11:45 UTCの版 『wikipedia』より

この立派な建物が大統領官邸です。
一見西洋風だけど、ヨーロッパの建物とは少し違うような・・・?
そんな印象の建物です。

内部は4階建て、340もの部屋があります。
広大な庭園も含めると130ヘクタールの広さがあり、国家元首の官邸としては、世界最大級だそうです。

広さがピンとこない…笑 比較の参考に↓
・東京ドーム48個分弱
・ディズニーランド&シーは合わせて 約100ヘクタール
・アメリカ ホワイトハウス 約7.6ヘクタール(意外と小さい!)
・日本 皇居(外苑除く) 約115ヘクタール(意外と広い!)

この建物は各国の国賓を迎える際にも活用されています。
INDIA TVによると、なんとここのゲスト用VIPスイートルームに初めて宿泊した王室が、日本の天皇明仁さまと皇后美智子さま(2013年当時)だったそうです。

安倍首相が2015年に、その他アメリカ大統領等多くの国賓が招待されています。

ここだけ切り取ると、インドではないようではないですか?!
なぜヨーロッパ風な建物なのかと言うと、ニューデリーが誕生した歴史をみると分かります。

政治の中心、ニューデリー誕生の歴史

1858年に、インドはイギリスに征服され、英領インドが成立しました。

その際に首都とされたコルカタが東に寄りすぎている上に、
コルカタを中心に強まった反イギリス・民族主義運動によって、
政治が影響を受けないようにするために1911年に首都移転を決定しました。

なぜデリー?
イギリス統治前のムガル帝国時代にも都があった場所であり、
インド北部の中心地にあってインド全土を統治しやすいと考えられました。

官庁街の場所はどこにしよう?
デリー北部から南東に向かって流れるヤムナー川の氾濫の影響を受けない、水はけの良い高台という条件を満たした現在のオールドデリー南側の荒野が選ばれ、ニューデリーが誕生しました。

その際に、英国インド総督の宮殿として、イギリスの建築家が建てたものが、
1947年にインド独立後も、そして現在に至るまで、大統領官邸として使用されているのです。

周辺には、国会議事堂や各省庁の建物が立ち並んでいます。

インドの大統領官邸の建築について

まず建設予定地に住んで居た人々を移動させて更地にし、川から離れた所に作るために、資材を運ぶための線路を敷き、地下水を組み上げる必要があったことに加え、第一次世界大戦の影響もあり、約17年もの歳月をかけて、1929年に完成しました。

イギリスの建築家、ルーティンスという人がデザインしました。
初めは古典的なヨーロッパ的なデザインでしたが、地元民をより上手く統治するという政治的な目的のためにインド建築の色使いや細かい装飾が、主に建物の表面に取り入れられています

分かりやすい所で言うと、門にある象のモチーフがそうです。
赤い砂岩は、ジャイプールのあるラジャスターンの方の影響を受けています。

Rashtrapati Bhavan-4.jpg
写真:「Rashtrapati Bhavan」2020年6月5日 11:45 UTCの版 『wikipedia』より

メインドームは、サーンチーの仏塔に見られる丸いドームに影響を受けています。
サーンチーの仏教遺跡
写真:「サーンチー」2019年9月24日 (火) 11:41 『wikipedia』より

ちょっと残念で面白いのが、大統領官邸という威厳ある建物のはずが、
インド門の方から見ると坂の勾配によって隠れてしまい、ドームくらいしか見えないんです。

建築家は大統領官邸をどこからでも見通せる高い位置に建てたかったそうですが、坂の勾配によってどのくらい隠れるかを把握しきれていなかったのではないか、と言われています。
建築後に気がつき、坂の勾配を変更するよう抗議しましたが、却下されたそうです…笑

インドにおける大統領の役割って?

インドのトップといえば、モディ首相を思い浮かべますよね。
例えば、コロナ禍でロックダウンを施行すると発表したのはモディ首相ですし、海外の国賓が来印した時や独立記念日などのイベントでも、モディ首相がより注目されているように感じます。
私は在住2年目ながら、大統領の名前も顔も出てきませんでした・・・

現インド大統領は第14代、2017年に就任したラーム・ナート・コーヴィンド(写真右側、左側はモディ首相)という方で、元々弁護士をされていたそうです。
そういえばガンジーも弁護士でしたね。(余談)

インドは正式名称をインド共和国といい、君主は存在しません。
1950年に施行されたインド憲法は、大統領を国家元首としています。

憲法が大統領に与えている権限
・国会を解散する
・国会で可決された法案は大統領が同意して初めて法律になる
・首相、最高裁判所長を任命する 等

ただし、これらの権限は、内閣の助言に基づいて施行することが義務付けられており、
実際には裁量権はなく、憲法を保存するための儀式的な存在となっているようです。

大統領官邸は見学できる!

大統領官邸の見学コースは、3つのルート(circuit)と衛兵交代式の4つ分かれており、それぞれ予約をすれば見学できます。
いずれも9:00〜16:00ですが、実施される曜日が異なります。

●Circuit1 実施日:木、金、土、日
本館、前庭、レセプション、ナヴァチャラ、バンケットホール、上段ロジア、ルーティンス大階段、迎賓館、アショクホール、北応接室、長応接室、図書室、ダルバールホール、仏陀像

●Circuit2 実施日:月曜以外
博物館

●Circuit3 実施日:11〜4月の木、金、土、日(2月上旬〜3月上旬に行われる庭園の祭典期間を除く)
庭園

●衛兵交代 実施日:土、日
時間は時期によって異なります。(下にリンクがある公式HP予約ページに記載あり)
衛兵交代といえば、イギリス バッキンガム宮殿が有名ですが、
インドでも行われていたとは知りませんでした。
YouTubeに衛兵交代セレモニーのショートムービーがあったので、ぜひご覧ください!

必要事項(一部抜粋)
・申し込みにパスポートコピーが必要、当日は原本を携帯する。
・訪問者一人当たり50ルピーの登録料が必要。支払いはオンライン。
・予約確認はEmailで送信される。

予約、衛兵交代の時間、必要事項全文は下のリンクからご覧になれます。
大統領官邸公式HP見学予約ページ

おまけ:モディー首相の家(インド首相官邸)は?

大統領官邸から2〜3km南下したあたり、
7, Lok Kalyan Marg(2016年に7, Race Course Roadより改名)が住所で、
7RCRや7LKMと呼ばれているようです。

首相はここで公式なもしくは政治的な会合の大半を行っています。
こちらは一般公開されていません。

この敷地に入る通路は1つしかなく、セキリュティーはさすが厳重です。
近くのサフダージャング空港というVVIP専用の空港まで約2kmのトンネルがあり、直接行けるようになっています。

さらにそこからわずか1km 南西側には日本を含む各国の大使館がある、とても綺麗に整備された通りがあったりします。

 

いかがでしたでしょうか?
インドにはイギリスの名残が他にもあります。
法律、英語、紅茶、国境問題、などなど。
今度はイギリス統治時代に首都であったコルカタの方にも行ってみたいな〜と
知れば知るほど、行きたいところも増えていきますね。

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